「箸の歴史」-菩提心5号(H12.3.15)-
日本に箸が入ってきたのは、弥生時代の末期であると言われています。その当時の箸は現在のように二本一組の箸ではなく、「折箸」という、細く削った一本の竹をピンセットのように折り曲げた形でした。当時の箸は一般の人が使うものではなく、神様が使う神器であり、または天皇だけが使うことを許されたものでした。
お箸が日本で初めて一般の食事に使われたのは7世紀の初めです。
そして、初めてお箸を食事に使わせたのは、みなさんよくご存じの聖徳太子でした。
聖徳太子は中国(随)に使節を送りました。そこで使節団は王朝の人々に歓迎を受けたのですが、王朝の人たちが箸を使って食事をしているのを見て大変驚いたそうです。
日本に戻った使節からこの報告を受けた聖徳太子も驚きました。
そして、今度中国の使節を日本に招待する時のために、大急ぎで箸を使った食事の作法を朝廷の人に習わせたということです。
ここから、日本で食事に箸を使う風習が始まったのです。
8世紀頃から箸食の文化は一般に広がりました。そのころの箸は「折箸(おりばし)」ではなく、「唐箸(からはし)」と呼ばれる現在使われているような二本一組の箸になっていました。素材は竹が主に使われており、「箸」という字が「竹かんむり」でできているのも、これによるものです。
その後、竹以外にも、いろいろな材質が使われるようになり、江戸時代にはいると漆塗りの技術を施した「塗箸」も生まれ、様々な色や形の箸が作られるようになりました。食文化の発展に伴い、現在までにいろいろな箸が生み出されてきています。
参考資料
『箸の本』(本田總一郎著)
『箸の文化史』・『日本人はなぜ箸を使うか』(一色八郎著)など
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