第23号特集.他人は家族の始まり(H24.3.15)
○はじめに
今、「絆(きずな)」という言葉と共に、人のつながりの大切さが見直されています。
今回は、私なりにご先祖や家系という観点から人のつながりについて考えてみたいと思います。
○みんな自分とつながっている
仏教の教えではよく、ご先祖を大切にしなさいと言われますが、それはご先祖がいるからこそ私たちがこの世にいるからです。
たとえば、誰にでも、ひいおじいさん、ひいおばあさんは合わせて八人いますが、八人すべてが自分と血がつながっています。
その誰か一人でもいなければ、自分はこの世に生まれていないのです。
○ご先祖様は他人同士
こうやってみていると、自分のご先祖はみんなそれぞれが血がつながっていると思いがちです。
確かに、自分から見れば、自分の先祖に当たる人間は全て自分と血がつながっています。
しかし、それは「今の自分」を通して「縦」につながっているだけなのです。
たとえば、ひいおじいさんたちの時代を「横」に見てみると、自分から見ると血がつながった八人ですが、それぞれは血のつながりもない全くの赤の他人です。
それぞれがお見合いであったり恋愛であったり、色々なご縁があって結びついたからこそ、いまの自分たちのご先祖になったのです。
と、いうことは、もっとさかのぼると、何百年も前の時代には、いつか、誰かの祖先としてつながることを知らずに暮らしている何千、何万人の人がいたということです。
そう考えると、いま生きている大勢の人たちも、何百年先には、自分の子孫のご先祖としてつながる可能性もあると言うことです。
これらのことから分かるのは、長い血のつながりを作っているのは、もとは他人同士の縁だと言うことです。
○おわりに
親兄弟、親戚は血を分けた間柄(あいだがら)だから大切にしなければいけないと言うことはもちろんのことです。
しかし、忘れてはならないのは、血縁とは自分の努力ではなく過去の誰かによってプレゼントしてもらった絆だということです。
「兄弟は他人の始まり」という言葉からも分かるように、兄弟の子供はいとこ、その子供は又いとこというように、どんどんと離れた関係になっていきます。
私たちが最も近い「親子」という絆を生み出していくには、自分自身が新しい縁をつないでいくしかなく、それは過去のご先祖のみんながおこなってきたことなのです。
新しい絆は自らが生み出すもの。
過去の縁に感謝し、現在の縁を大切に生きていくことが、未来の縁を作っていくのです。
(以上)
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