新年明けましておめでとうございます。
本年も皆様にとって実り多き心豊かな一年になりますよう心よりお祈り申し上げます。
今年の干支は、午。本尊様で言うと勢至菩薩様です。勢至菩薩様がお堂の中心の本尊様としてお祀りされていることはほとんどありませんので、ご存じない方も多いと思われます。
しかし、阿弥陀如来様がお祀りされているお寺には、観音様と一緒に阿弥陀如来様の両脇を固める「弥陀三尊形式」という形でお祀りされていることが多いので、知らないうちに勢至菩薩様をお参りしていることがあるかもしれません。
勢至菩薩様は知恵の仏様です。
知恵の仏様というと、「文殊の知恵」の文殊菩薩様の方が有名ですが、勢至菩薩様も知恵を司っている仏様です。
知恵については、以前菩提心にてご紹介した「仏様が見ている-知恵のお話-」をご覧頂けると幸いです。
ちなみに、観音様は慈悲の仏様です。
弥陀三尊形式では知恵と慈悲が一対となっています。
知恵と慈悲は一体のものでなければいけません。
いくら慈悲の心を持っていても、それを生かす知恵がなければ、たとえ何かをしたい、誰かを助けたいと思ってもどうしていいか分かりません。
反対に、知恵を持っていたとしても、慈悲の心がなければその知恵を誰かのために使うことはしないでしょう。
それどころか知恵を悪用し、誤った使い方をしてしまうかもしれません。
知恵なき慈悲、慈悲なき知恵は完全なものではありません。
知恵と慈悲は切っては切れない而二不二の関係です。(菩提心「而二不二のお話」参照)
知恵を司る勢至菩薩様がご本尊の午年、慈悲のある知恵を持ってこの1年を過ごしていきたいと考えています。
本年は弘法大師様が四国霊場を開創されて1200年の記念の年。来年は高野山開創1200年と、お大師様に縁のある年が続きます。
箸蔵寺としてもお大師様の教えに触れられるお寺であるよう、本年もより一層の努力をしていきたいと思いますので宜しくお願い致します。
重要文化財本殿の午の彫り物(除夜の鐘記念カードより)
2020.7.15追記
箸蔵寺に、年に何度か、「どこに勢至菩薩様がいらっしゃるのですか?」と尋ねてこられる方がいらっしゃいます。
おそらくこの記事が原因かと思われますが、こちらは「午年の本尊様は勢至菩薩様ですよ」という、年末年始の恒例の干支の本尊様のご紹介であって、「箸蔵寺に勢至菩薩様がお祀りされている」という意味ではありません。
申し訳ありませんが、箸蔵寺には皆様に拝観頂ける勢至菩薩様はいらっしゃいませんので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。